つ~んと鼻にくるにおいの正体

「つ~ん」は、らっきょうが身を守るための仕組み?

実は、らっきょうの独特な香りは、最初からそのままの形で存在しているわけではありません。らっきょうやニンニクなどのネギ属植物には、硫黄を含んださまざまな「含硫化合物」が含まれています。組織が傷ついていない状態では比較的においの少ない成分も、包丁で切ったり、歯で噛んだりして細胞が壊れることで酵素と接触し、揮発性の高い成分へと変化します。これが、口に入れた瞬間に感じる「つ~ん」とした香りや辛みにつながっています。 この仕組みは、植物にとっては外敵から自分の身を守るための防御システムの一つと考えられています。つまり、私たちが「らっきょうらしい香り」と感じているものは、植物が本来持っている化学反応によって生まれているのです。

「切る・噛む・加熱する」で香りが変わる

この反応を知ると、らっきょうの香りが調理方法によって変わる理由も見えてきます。細かく刻んだり、よく噛んだりすると細胞がより多く壊れるため、含硫化合物と酵素が接触しやすくなります。一方、加熱によって酵素の働きが弱くなれば、生成する香気成分の種類や量も変化します。 生のらっきょうを切ったときの強烈な香りと、加熱したらっきょうの香りが違って感じられるのは、こうした化学反応の違いも関係しています。ニンニクでは、内部温度が高くなるとアリイナーゼという酵素が失活し、アリシンの生成量が大きく減少することも報告されています。 「においが強い=悪いもの」ではなく、あの独特な香りそのものが、ネギ属植物が持つ成分の特徴を私たちが鼻で感じ取っているともいえるのです。

気になる「食べた後のにおい」はどうする?

では、らっきょうを食べた後のにおいが気になる場合はどうでしょうか。ニンニクを使った研究では、生のリンゴやミントなどが、食後の揮発性硫黄化合物を減少させることが報告されています。特に生のリンゴでは、ポリフェノールだけでなく、ポリフェノールオキシダーゼなどの酵素も関係していると考えられています。 緑茶についても、茶カテキンなどのポリフェノールによる消臭作用が研究されています。ただし、実際にニンニクを食べた後の呼気を調べた研究では、緑茶の効果が確認されなかった例もあり、「緑茶を飲めば必ずにおいが消える」とまではいえません。 そこで、らっきょうのにおいが気になる方は、食後に生のリンゴを食べたり、食事の最後に果物を取り入れたりするのも一つの方法です。 らっきょうの「つ~ん」とした香り。その正体をたどっていくと、単なる“におい”ではなく、植物が持つ成分と酵素が生み出す、とても興味深い仕組みが隠れているのです。

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