らっきょうの旬は初夏から夏
すでに加工されたものを食べることが多いらっきょうですが、生のらっきょうは5月~6月になるとスーパーなどにも出回り、甘酢漬けなどに使用されます。漢字では「辣韭」と書き、日本で栽培されている品種はラクダ、玉らっきょう、八房(やつぶさ)、九頭竜(くずりゅう)などがあり、その中でもラクダが代表品種になっています。
また、らっきょうを若採りしたものがエシャロットとして出回っていますが、本来のエシャロットとは全く別のものです。らっきょうが野菜として日本で普及したのは江戸時代に入ってからで明治時代に栽培が始まったといわれています。9~10世紀頃の日本の書物には「ナミメラ」や「オホミラ」という名前で記載されており、当初らっきょうは「薤白(がいはく)」と呼ばれる生薬として漢方に利用されていました。
らっきょうの栄養と効能について
漢方にも用いられ、「畑の薬」ともいわれるらっきょうですが、ここではらっきょうに含まれている栄養素と効能についていくつかご紹介したいと思います。
フルクタン
小さくても、らっきょうに含まれる食物繊維の量は野菜の中でもトップクラス。食物繊維が多いことで知られているごぼうよりも3~4倍多く含んでいます。また、コレステロールを吸収して排出させる働きのほか、脂質が体内に吸収されるのを軽減したり血糖値の上昇を穏やかにする作用があります。食物繊維の一種で、野菜に含まれる食物繊維には水溶性と不溶性がありますが、フルクタンは90%以上が水溶性です。
硫化アリル(アリシン)
独特のニオイや辛み成分のもとになっている硫化アリル(アリシン)は、たまねぎなどにも含まれている成分で血液が固まるのを防いでサラサラにする効果や、抗菌・殺菌する作用があります。ビタミンB1が体内に吸収されるのを助けるため、豚肉などと一緒に食べると疲労回復にも効果的です。ポリフェノールのカテキンはニオイのもとのアリシンを抑える働きがあるので、ニオイが気になる場合は食べて直ぐにカテキンを含むリンゴの皮を食べるか、緑茶を飲みながら食べるようにすると抑えられます。
サポニン
大豆やニンニク、高麗人参などにも多く含まれている配糖体のひとつで、サポニンには界面活性作用があるためらっきょうを洗うとブクブクと泡が出てきます。コレステロールの吸収や血糖値の上昇を抑制したり、免疫力向上や肥満予防、交感神経を優位にする作用からリラックス効果も期待できます。
カリウム
カリウムは、細胞の浸透圧をナトリウムとともに維持・調整し、体内に溜まった余分な水分の排出を促す作用があるため浮腫みの改善に効果的な成分です。
ビタミンC
らっきょうにもビタミンCが含まれていて、健康な皮膚と粘膜の維持を助けて色素沈着を防ぎ、抗酸化作用も期待できることから美容にも効果的な成分です。
らっきょうの効果的な食べ方
カレーと言えばらっきょうですが、なぜカレーにらっきょうを付けるのか疑問に思ったことはありませんか?らっきょうにカレーに添えられるようになったのは、戦前に帝国ホテルが列車の食堂でカレーライスにらっきょうの漬物を一緒に出したのが始まりだったという諸説がありますが、ビタミンB1を多く含むポークカレーと栄養素的にも相性が良いことや、口をさっぱりさせるためにピクルスの代わりにしたともいわれています。
ただ、らっきょうに含まれる硫化アリルは血液をサラサラにするものの、その効能の高さから胃に負担がかかってしまうことも。大量に食べると胸やけや胃もたれをおこしてしまう可能性があるので、漬物を含む生のらっきょうを食べる量は1日4~5粒ぐらいまでが目安です。おいしくてついつい沢山食べてしまいがちですが、効果的に摂るには自分の体にとっての適量はどのくらいなのかを知り、おいしく召し上がってください。