なぜ間違える!?エシャロットとらっきょう

エシャロットは西洋野菜のひとつ

初夏を迎える頃、日本の猛暑を乗りきるための保存食として、梅と同様にらっきょうの漬け込みを恒例とされている方が多いのではないでしょうか?5~7月頃に旬を迎えるらっきょうと混同されやすい野菜として、エシャロットという西洋野菜の名前を耳にしたことはありませんか?

まったく違う響きの名前ですが、なぜ間違えられやすいのでしょうか?それは日本に渡ってきた時期の違いや、らっきょうを日光に当てないように土寄せする方法で栽培を行い、早採りした葉付きらっきょうがエシャレットと呼ばれていることに関連しているようです。

らっきょうとエシャロットが混同される理由

まず、らっきょうとエシャロットの違いについて整理しましょう。らっきょうは、ヒガンバナ科ネギ属の多年草で、漢字では【辣韮】と書きます。韮(ニラ)とあるように、ニラやネギ、ニンニクなどに近い野菜で、中国を原産としています。

日本へは平安時代に渡り、薬用として用いられていました。その後、江戸時代頃から食用として栽培され始め、塩漬け、甘酢漬けなどを中心に食卓へ上がるようになりました。カレーのつけあわせとしても日本ではとてもなじみが深いですね。

エシャロットは、らっきょうと同じヒガンバナ科ネギ属であるものの、玉ねぎの変種とされ、形も小タマネギのような形をしています。味はニンニクと玉ネギの中間と表現されることが多く、加熱すると香りがよくなるので、特にフランス料理のソースベースやマリネ、ドレッシング、また刻んで肉魚の臭み消しとしてかかせない香味野菜です。中央アジアを原産とし、中東やヨーロッパでは古くから食用とされていました。

一見、接点が見えないらっきょうとエシャロットですが、なぜ混同されるのでしょうか?実は1960年代頃、なかなか売れない葉付きらっきょうに、西洋野菜の「エシャロット」と名前をつけて販売したところ人気が出てそのまま定着。近年になり本来のエシャロットがヨーロッパなどから輸入され始めると、混同を防ぐために「葉付きらっきょう=エシャレット」、「エシャロット=ベルギーエシャロット」として市場の出されるようになりましたが、名前が似ているため、いまだに混同されることが多いようです。

エシャレットは葉付きらっきょう!

日本でベルギーエシャロットと呼ばれるエシャロットは、欧米では一般的なものの国内での栽培は極わずか。店頭に出ているものはほぼ輸入で、一般のスーパーなどではなかなか見かけない珍しい野菜です。そしてエシャロットそのものを食べることはあまりありません。

一方、エシャレットは葉付きらっきょうとして比較的手に入りやすく、柔らかく辛味も少ないため、味噌やマヨネーズをつけて食す生食に向いてるほか、葉ごと湯がいて酢味噌とあわせた「ぬた」や天ぷらなど、どんな料理にしてもおいしく食べられます。もちろん香味野菜のように刻んで料理のアクセントにしたり、普通のらっきょうと同じように甘酢漬けや塩漬けも。気軽にいろいろなレシピを試してみるのも楽しそうですね。

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